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新築の物件を貸し出すときは問題はないのですが、一旦借主が入居したあとの物件を貸し出すときは、その汚損・破損等に対し、どのような考え方で修繕やリフォーム等を行うかということが問題になる。 |
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通常の借主であれば、特に部屋を汚したり、壊したりすることはないので、そのまま部屋を清掃して明渡してもらえばよいのですが、中には清掃の仕方が不十分で、特に台所やトイレ、風呂場などについては、そのままの状態では次の借主が入居するには不衛生で、専門の業者が油落としや消毒などの作業を行わなければならない場合もあります。 |
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また、小さな子どもがいる場合には、当然ある程度の汚れやキズが付くこともありますし、特に犬や猫などのペットを飼っているような場合には、その臭いや毛の始末の問題でトラブルになることもあります。 |
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そのような現状を踏まえ、かなりの貸主が、契約時に、あらかじめハウスクリーニングや畳の表替え、障子・襖の張り替えなどの費用を借主の負担とする特約(いわゆる「原状回復特約」)を設けることが行われています。 |
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このような特約の有効性については、裁判所の判断も必ずしも一定していませんが、「無効」とされる裁判例がかなりあります。また、最近の裁判例で、契約が終了したときに、「賃借人の費用をもって本物件を当初契約時の原状に復旧させ、賃貸人に明け渡さなければならない」との文言は、通常の使用による損耗汚染を原状に回復させる費用を賃借人に負担させる特約とは解されない、と判断したものがあります(大阪高裁平成12年8月22日)。 |
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つまり、裁判所の考え方は、原状回復というのは、端的に言えば、借主が普通に使っているのであれば、「借りたものを貸主に返せばよい」のであって、「貸した時の状態に戻すことではない」ということなのです。 |
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本来賃貸借契約においては、貸主は借主に対し契約に定められた目的に適した状態で建物を使用させる義務を負っており(民法第601条)、そのために必要な修繕義務も負っているわけです(民法第606条)。したがって、入居者の安全というセキュリティの面においても、貸主に一定の責任があるように思われます。そのような観点から、原状回復特約の一つとしてもトラブルの原因となっている鍵の取り替え費用の負担についても、次の借主に対する安全の確保という観点から、貸主がその費用を負担するという考え方が妥当といえるでしょう。 |
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以上、原状回復とセキュリティについての考え方を説明してきましたが、要は、貸主としては、それらの行為はあくまでも次の借主に部屋を貸すために「事業」として行うわけですから、本来は事業主が「事業コスト」として吸収すべきところを、(借主にはその「原状回復特約」などについて事前に説明したと言いながらも、借主としては、その負担する金額が具体的に認識しにくいこともあって)結果として借主に負担させるということになるものですから、借主にとっては戻ってくると思っていた敷金が戻ってこないということになって、トラブルに発展するということだと考えられます。 |
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そのため、国土交通省としては、すでに平成10年に原状回復の考え方についての『ガイドライン』を発表しており、東京都も、平成16年10月から『条例』で、賃貸の媒介・代理をする宅地建物取引業者に対し、宅地建物取引業法上の重要事項説明とは別に、上記原状回復についての考え方を説明したうえで、特約(負担)の内容を説明するように義務付けています。 |
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このように、賃貸に出す前に行う修繕やリフォーム代の負担は、(借主の故意・過失によるものを除き)基本的には貸主がそれまでに受領した賃料等の収益で行うことになりますので、賃貸を「事業」として行う場合には、用地取得をはじめ、建築コストや管理コストなどを十分計算したうえで、適切な賃料設定をすることが非常に重要になってくるわけです。 |